2019年8月のあれこれまとめ。
<今月の読書>
いちばんやさしい薬理学 木澤靖夫
これならわかる!薬の作用メカニズム 中原保裕
薬がみえる vol.2 医療情報科学研究所
薬がみえる vol.3 医療情報科学研究所
疫病神シリーズ 疫病神~喧嘩 黒川博之
いけない 道尾秀介
今月は小説が多めだった。
ドラマからハマって、ようやく原作に手を出した疫病神シリーズ。
大阪が舞台になっているので、知ってるところも多くておもしろい。内容はけっこうハードなところもあるので、キャラクター小説としては好きだけど、本来的にはハードボイルド小説は苦手だなと思う。
道尾秀介の「いけない」は、帯の煽りがすごかったので読んでみた。びっくりするオチという評判だったけど、私にはイマイチだった。策士策に溺れるじゃないけど、文章をひねりすぎている気がする。犯人の動機や心情の整合性がとれていないと、どうしてもそっちが気になってしまう。インタビューをチラっと読むと、本をあまり読まない人におもしろいと思って欲しいから書いた、という趣旨のことが書かれていた。そういうことなら、自分がどう思おうが関係ないなとも思う。
森博嗣だったかが言っていたが、本を読むという趣味は、実はとてもマイナーな趣味だという。ほとんどの人が本なんて読んでいないと。
本好きは、自分が本好きの自覚がないため、全体像を見誤ることがあるらしい。私は本好きだと思っているが、多読をしているとは思っていない。むしろ、自分は本好きの中では、あまり本を読まない人間だと思っている。読む速度も遅いし、ななめ読みや、好きなところだけ、オチだけ先読みもする。なんとも荒々しい本読みだと思うから。
読書が好きになるきっかけは何だろう。
私の場合は単純明快で、エロ本が読みたかったという理由だった。小学生の頃はお姫様が出てくる絵本が大好きで、そこから少女小説をこっそり読み、それでは満足できなくなって、いわゆる文学作品にも手を出し始めた。だんだん小説のパターンにも慣れてきて、大学生になると論文系もガツガツ読むようになった。仕事柄、医療論文を読む機会があったこともあり、難しい文章の読み方というものにも慣れていった。
でも、一番最初の動機は、恋愛小説が読みたいという欲望のみだった。小学生の頃の担任に「どんな本でもいい。漫画でもエロでも何でもいいからとにかく文字を読みなさい」と言われたことに後押しされ、その言葉を真に受けて、エロ本を読み漁るという暴挙に出たのが良かったのかもしれない。ありがとう担任。
本が楽しいならずんずん読めるはずだ、という思いが私にはある。難しい本なんて読まなくていい。読みたい本を貪るように読めばいいじゃないかと思う。インターネットやTwitterでテキストを読む行為だって、本を読む行為に似ていると思う。だから、それで慣れて飽きるほど読めば、次のステップに進みたくなるんじゃないかと期待している。
だから、道尾秀介が「いけない」を、あまり本を読まない人に向けて書いたという話は、小説家として素晴らしい姿勢だなと思う。そういうエンタメ作家は、やはりあまり多くないと思うから。
あと、今月は100de名著がロジェ・カイヨワの「戦争論」だったので、関連書物に手を出してみた。まだまだ浅くしか読めていないので、感想は書けないけれど。
それから、薬物関連のニュースが流れてくる中で「オピオイド」という単語がみょ~に頭にひっかかって、そういえば薬の機序をあまり理解していないなと思い至り、薬学関連の本を読んでいる。
<今月のドラマ>
黒川博之つながりで、森山未來主演の「煙霞」を見た。
監督は映画版の「破門」を撮った小林聖太郎。
破門より、こっちのドラマの方がおもしろいなと思った。ちょっとテンポがゆっくりなのが気になったけれど、キャストが全員関西出身なので、しゃべりを聞いてるだけで心地良かった。
特に高畑充希の女教師がハマっていてびっくりした。清楚な女の子を演じているイメージが強かったので、こういう役もいいなと思った。森山未來とのかけあいも絶妙で、いいカップル。
森山未來演じる美術教師は、いまでこそ絶滅したと思うけれど、こういう先生いたな~と思わせられる妙なリアリティがあった。(作者本人に近いのかも)
ふと思い返してみると、小学四年生から高校三年生までの九年間、私の担任は全員こういう自由人な男性教師だった。仕事よりも優先するものがある人ばかりで、趣味に生きている人だった。教職というのは、昔はそれぐらい自由な面があったと懐かしく感じた。