ラジエーションハウス 第一話
窪田正孝主演の医療ドラマ。
月9で医療系というのが定番になりつつある。
視聴率が安定するんだろうな~と、時代の変化を感じつつ視聴。
漫画原作らしいのですが、漫画は未読。
画面はラブストーリー系のキラキラした照明で、医療ドラマっぽい雰囲気はない。
こういうところは月9っぽいなと思っていたら、演出が鈴木雅之さんだった。
この方の演出は、どうも光に目がいく。
記号的ともいえるわかりやすいキラキラ感は好きですが、この医療ドラマにとって吉と出るか凶と出るか。
個人的には、キラキラ系の演出は嫌いじゃない。
何せ90年代、00年代と、この方のドラマを見て育ってきたので、安心と安定の鈴木雅之演出だ。
ただちょっと古いかなとも思う。判断が難しいところ。
ストーリーは、よくある医療モノの感じだった。
天才主人公と悪役がいて、感動するタイプのオチ。
新人技師の葛藤があったり、できる先輩の暗い過去とか、そういうものがちりばめられていて、最終的にはチームで病魔と闘うという、定番の形。
一話完結のチームもの、と言えばだいたいの想像はできる。
悪くはない。
悪くはないけど、楽しみかと言われると難しい。
ストーリーには引きがない。
キャストに興味がなければ、おそらく見ない。
それぐらい見慣れたドラマだと思う。
ストーリーで引き込まれるドラマもあれば、キャストが輝くドラマもある。
だから、どっちが良いとか悪いとかじゃなくて、おもしろいかおもしろくないか、次も見たくなるかどうかが重要だと思っている。
主演の窪田正孝は、なぜか目がいってしまうタイプの役者さん。
個人的には好きではないけれど、それでも見てしまう。
これはなかなかすごいことだと思う。
今回の主人公もハマっている。
医師免許を持っていて、天才的な推察力があるレントゲン技師を、ダメ人間っぽい雰囲気で演じている。
脇を支える遠藤憲一もすごい。
最初のカット、登場しただけで、このキャラクターがどういう人間なのかが瞬時にわかる。
仕事ができるけど粗野な部長職。
ドラマに絶対いる「対外的にはダメっぽくみえてめちゃくちゃ有能な上司」感が存分に出ている。
医療関係者がはいているスリッパを、ちょっと乱暴にすべらしながら歩く仕草が、なんかとっても「っぽい」のだ。
しかも「医師」ではなく、ちゃんと「技師」に見えるのだ。
なぜかはわからない。見てるこっちの思い込みなのかもしれないけれど、医者を演じている時の遠藤憲一とは違って見える。
医者ほどの学歴も頭脳もあるわけじゃないけれど、技師の遠藤憲一には努力して技術を体得してきたという自信があるように見えた。
この演じ分けをどうやっているのか、衣装なのか立ち振る舞いなのか、髪型なのか、私には理由はわからないけれど、この技術がすごいと思った。
和久井映見は主人公の秘密を知る病院長の立場。
優しい母親のような雰囲気ながら、なんでもお見通しといった曲者感もほんの少し見え隠れする。
ビブラートがかった、少し震えた声がとても良かった。
彼女が出るシーンは安心感しかない。
そして、新人技師の広瀬アリス。
とにかく可愛い。
おてんばな女の子や、ちょっと悪い女の子を演じている印象が強かったので、真っ直ぐに前向きな新人キャラは合わないんじゃないかと思っていた。
でも、とても合っていて驚いた。
主人公との恋は実らないだろうから、それは残念だなと思う。
ヒロインの本田翼は、あまり演技がうまくないので、キャラクターが崩壊しているように見えた。
主人公に対する冷淡な態度と、医療現場で熱心に対応する姿のギャップが嘘くさく、ストーリーの犠牲になってしまったキャラクターだと思う。
主人公に冷たくする必然性は、物語のため以外にはない。
ここにもっともらしい動機があれば、もっとこのヒロインも活きたんじゃないかなと思ってしまう。
たとえば、仕事に熱中するあまり他人には無関心であるとか、これまでのレントゲン技師の技術に不満があり、主人公への偏見があったなど、いくらでも理由も演出もつけれそうだった。
もしくは、主人公と出会う前、ワンシーンでもいいから仕事熱心な姿を見せていれば、印象はまったく違ったのにと思う。
逆に、冷淡なキャラクターで押すなら、熱心な姿はもっと後に見せて欲しかった。
どっちにしろ、ストーリーのためにないがしろにされたキャラクターだったのが残念。
うまい俳優さんが演じれば、限られたシーンでもキャラクターを再現できただろうけど、それを彼女に求めるのは酷な話だと思う。
もっと演出つけてあげて欲しいなあと、テレビの前でそんなことを思ってしまった。
話はうまくまとまっているし、キャストもうまい人も多いので、見やすいドラマだと思う。
ただ、全体で見た時に、色々なバランスが悪いのが気になった。
画面構成がラブストーリー演出なのに、チームもので、医療もの。
キャラクターの設定が盛りぎみ(天才・天然・人数が多い)なのに、一話完結で毎回ミステリー仕立てのストーリー展開。
すべてがどこかで見たことがある既視感があり、軸がどこにあるのかわからない作りだった。
大はずれもないかわりに、大当たりもなさそうだなと思った。